Our atelier

Inspiration of design

女性の動く身体、骨格、筋肉、仕草

結婚式の一日、
花嫁が静かに佇む時間は
実のところほんのわずか。

ゆっくりと歩き、軽くお辞儀をし、
首を傾け、そっと手を差し出す。
静かに立ち、腰をおろし、また立ち上がる。

そのたび、背中や首筋・腕・腰といった
身体のあらゆる部位が

骨と筋肉の繊細な連なりを通して
優雅な動きを支えています。

その一つひとつの所作が、
自然に美しく映るように。

身体の構造や筋肉の流れ、
重力のかかり方までを緻密に読み取り、
軽やかで心地よい着心地と
品格ある佇まいを叶える設計を
一着一着のドレスに織り込んでいます。
腕を体に回して顔を上にあげた女性のモノクロ写真
キャミソールを着た美しくしなやかな女性の背中
階段のモノクロ写真

ミニマル建築の構造、それが生み出す陰影

毎シーズン、デザインを始める前に集めるのは、
ミニマル建築が映し出す、 静かで力強い美しさ。
素材の質感、光の入り方、影の移ろい———
それらすべてが計算された上で構成される
潔い直線や大胆な曲線。
装飾を削ぎ落とし、
構造そのものの美しさを際立たせることで、
空間に静けさと緊張感、
そして余白の美をもたらす空間。
装飾ではなく構造そのものが語る
「引き算の美学」。
それは、nae. ATELIERのドレスづくりとも
深く響き合います。
素材の特性を活かしながら、
身体の魅力を最大限に引き出す構造を追求すること。
光と影、動きと静けさ———
建築の中にある、目には見えない設計思想が、
毎シーズン、欠かせないインスピレーションを
与えてくれます。
階段のモノクロ写真

Design process

1.

イメージソース集めから始まるコレクション

毎シーズン、まっさらな感覚でスタートします。

頭を空にし、ただ「美しい」と感じるものだけを直感で集めていく。
選ぶのは、ミニマルな建築やオブジェを中心に、
時には素材感を想起させる抽象的なイメージや人体の一部など、かたちの意味にとらわれず、心が動くものをピュアに拾い上げ、ムードボードを制作していきます。

十分に集まったところで、俯瞰して眺めながら、その選択の裏にある思考の傾向や、今自分が惹かれているもの、心の深層を客観的に読み解いていきます。
そうして浮かび上がってくるのが、そのシーズンのテーマです。
2.

素材選び

シーズンテーマと挑戦すべき構造が定まったら、次に向かうのは、シルエットの完成度を大きく左右する素材選びのステージへ。 nae. ATELIER では、オリジナル開発の国産シルクを中心に、日本とイタリアの最高品質の素材を使用しています。

新しい表情のドレスを生み出すために、織り糸の選定から機屋との密な対話を重ねて一からつくり上げたり、膨大な素材の中から、繊細な職人技が宿る生地を一つずつ手で確かめながら選び抜いています。
素材そのものに宿る構造と美しさを見極めながら、ドレスの意図を質感として立ち上げていく工程です。
3.

身体の構造を読み解き、デザインへ

素材が決まったら、次はフォルムの輪郭を探るフェーズへ。
最初に行うのは、街に出て人々を観察すること。
駅、交差点、通りの風景の中で、性別や年代を問わず、 さまざまな体型、動き、リアルな服の着方を見つめます。
そうしているうちに、ムードボードから感じ取っていた “今、最も惹かれている身体の部位” が徐々に具体的な存在感を持ち始め、「動き」と「形」のイメージが静かに結びついていきます。

どこに焦点を当てるかが見えてきたら、 その魅力を最大限に引き出すカッティングを探る作業へ。
マヌカンを前に、骨格、筋肉、重力の流れを丁寧に読み解きながらラインを引き、心地よさとわずかな緊張感を宿すモードな存在感が共存するバランスを探り、すべてが交わる一点を見極めていきます。
4.

形の奥に、人物像の存在を宿す

シルエットを探る工程と並行して行うのが、nae. ATELIER のドレスにおける核——— “その一着を纏う女性像” を描くこと。

年齢、性格、体型、パートナーとの関係、挙式の場所や雰囲気など、一人の女性が頭の中で動き出すまで想像を深めていきます。

それは、物としてのドレスに体温を与え、すべてのディテールに意味と奥行きを与える、大切な設計の一部。
そして最終的に、その人物像を最も正確に言語化する名前が、 そのドレスの名前として刻まれます。
5.

平面図から起こすデザイン画、そして名付け

デザイナーそれぞれに異なるアプローチがありますが、私の場合は、シーズンごとに焦点を当てたい構造やディテール、女性像が明確になった時点で、プロダクトデザインのようにドレス全体を思考の中で立体的に描き始めます。

正面・側面・背面・上からの視点まで、頭の中でドレスをぐるりと観察しながら、それを「平面図」として図に落とし込み、生地の特性やディテール、縫製仕様まですべてが無理なく美しく交差する一点を探ります。
全体がひとつに調和したとき、ドレスの形はほぼ完成。

そこからはボリューム感を伝えるための着装デザイン画を描き、最後に、そのドレスが象徴する女性像に最もふさわしい名前を丁寧に名づけます。

完成したドレスは、私たちの中で一人の女性として“生きている” ため、チーム全体がその人物像を共有できており、実際に重なるお客様に対して、自然とその一着をおすすめできるのです。
6.

トワルチェックでの緻密な調整

名前が決まり、デザインが固まったら、 細かな仕様までを丁寧に指示し、10 年以上にわたって信頼を築いてきたパタンナーへと託します。
ここからが、nae. ATELIER の構築的で美しいシルエットを実際の形として立ち上げる重要なステップ。

トワルという仮縫いドレスを制作し、たとえ定番の形であってもシーズンごとに見直しを重ね、バストラインや背中のカッティング、切替位置などをmm 単位で調整します。

そのうえで、新しいデザインの核となる構造やディテールが、より整合性を持って身体と自然に呼応し 動きの中で美しさが際立つよう、仕様とシルエットをさらに深く探っていきます。
この段階が、実は一番わくわく楽しい瞬間。
脳内とデザイン画では思ってもみなかったような、より魅力的なディティールやシルエットが生まれる段階でもあります。
7.

サンプルアップ、フィッティングチェック、完成

トワルチェックでの細かな調整と改良を経て、ドレスは本パターンに落とし込まれ、縫製工程へと進みます。

nae. ATELIER のドレスは、一見シンプルでミニマルな佇まいながら、見た目には現れにくい複雑な仕様を内包しており、その構造そのものがデザインの一部となっています。

だからこそ、縫製には高度な技術が求められますが、日本国内でも指折りの熟練の縫製士が、一つひとつ丁寧に最高のクオリティで仕立て上げます。

完成したドレスは、モデルによる最終フィッティングを経て、いよいよ花嫁のもとへ届けられる 本当の「完成」を迎えます。
JP
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